とにかく、ふたたび書いてみることにした。会社と店と自分自身の記録。
何かせずにいられなくて、思いついた苦肉の策だ。
悩みながら、苦しみながら、そして楽しみながら。
とにかく続けるのみと自分に言い聞かせて、もういちどだけ。
5月も第2週に入り、少しずつ夏らしい陽気が続くかと思いきや、すっかり梅雨の気配ですね。
お店にとって雨は困りもの。お客さまの足も遠のきます――もともと少ないのですが(笑)。
そんな気持ちも晴れない時にすてきな作品が届きました!!
イラストレーター・久保田寛子さんが店のオープン1年半の記念に描いてくださった、出発点の怖ーい階段をモチーフにした作品です。
久保田寛子さんとの出会いはツイッターで興味を持ったZINE『タコのくに』がきっかけでした。注文した本を読みながら、自分たちもタコのくにの国民と同じように、考える自由、行動する自由を知らず知らずのうちに奪われているのだと気づきました。
いま『タコのくに』は出発点でも一番目立つところに置いて、みなさんに読んでいただきたい1冊となっています。
さてその素敵な作品は、お越しになるお客さまの最初の難関〝薄暗くて怪しげな急階段〟を面白く取り上げてくださって、目からうろこが落ちると同時に、とても幸せな気持ちになりました。
そして<何とかこのいまいましい階段を明るくしてやろう>という野心はすっかりなくなりました。
これからは「怖ーい階段」をもっともっと自慢したいと思います(違うかも……)。
久保田寛子さん、ほんとうにありがとうございました。
さて、ゴールデンウィークも終わり、点内のレイアウト変更のために実は少しずつ点内の作品をいったん売り場から移動させていただいています。
計画では入口右側の作家さまのグッズコーナーに本棚を移動し、絵本棚にしたいと思っています。そして入って正面に広がっていた自分の事務所部分の、なんとも生活感あふれた(あまりお見せしたくない……)部分に茶箱と木箱を移動して部屋の仕切りにして、そこに作家さまの作品を新たに展示したいと思っています。
レイアウトの変更など簡単に行くものだと思っていたのですが、考えが甘すぎました。狭い点内で効率よく家具や什器を動かすためにはある程度余白を作らないと無理だということに気づきました。
まず、本棚を動かすためには本を全て取り出して仮置くスペースが必要ですし、木箱の新たな移動先も空けておかなければなりません。まさにパズルの感覚で、なんとも頭が痛い問題ですが、少しずつ時間を見つけて進めていきたいと思います。もしかしたら、どこかのタイミングで数日お休みをいただくかもしれませんが、どうぞお許しください。
そして、早ければ7月から出発点としての新しい取り組みを始めたいと思っています。
店に来てくださったお客さまだけの、新たな本との出会いを記憶に留めておく、そんな試みです。きちんとお知らせできるまでもう少しお待ちいただければ幸いです。
ここのところ、気持ちを揺るがす悲しい出来事が続きますが、こういう時だからこそ、日々の身近な暮らしをもっと慈しみ、楽しまないといけないのかもしれませんね。
また次週も出発点でお待ちしています。
今朝は少し湿気のある空気が漂う、梅雨のようなお天気でした。
久しぶりにしらす入りの卵焼きとウインナーを焼き、父が作った筑前煮とプチトマトを詰めた弁当を作りました。
忙しいときになかなか弁当を作るのも気が乗りませんが、それでも卵を割って溶きほぐしたり、油をフライパンに引き、火加減を見ながら料理が出来上がる工程を楽しんでいると心が落ち着きます。
父の筑前煮は腕を上げました。ときどき、すごい料理が出来上がりますが。
妻は草むしりをしています。わたしが店を開いてから家のことはほとんど妻と父に任せきりで悪いなあと思いながらも、父とは少し口げんかをして、お互いむくれたまま家を出ました。
おそらく夜にはお互いいつも通りに戻っているでしょう。
今日は駅のホームも電車の中も、連休初めより人が減りました。何もせずこっくりこっくりしながらあっという間に後楽園です。
本郷三丁目の駅を出ていちばんはじめに目に入ってきたのは怪しげな真っ黒い雲。雨の予感。急ぎ足で店に向かいます。わたしは雨が迫る直前、みんなが慌ただしく道急ぐのを見たり、自分もどきどきそわそわするのがなぜだか大好きなのです。
雷なんか鳴っていたらなおのこと! なんとも悪趣味ですが、子どもの時、夕立と雷が怖くて逃げ込んだ祖母の胸の中の安心感を今でも覚えているからなのかもしれません。
運良く雨には濡れずに店に着きましたが、こんな日はのんびりした一日になるに違いありません。作ったお弁当を食べながら、この時ばかりはお客さまが来ないようにと念じていましたら、その通りになってしまいました。
机の周りを片付けながら、溜まった事務処理と格闘していると、初めてのお客さま。
わたしが節目に書いたごあいさつを読んで心配して来てくださったとのこと。申し訳ない気持ちと感謝ですっかり話し込んでしまいました。
今日ももう閉点の時間。ほんとうに日が長くなりました。
18時に店を閉めるのはどことなく後ろめたい気がしてしまいます。
今日は2名のお客さま。売上は残念ながらありませんでした。
雨宿りに来ていただけるようなお店にしないといけませんね。
来週からはまた平常モード。いろいろ慌ただしい一週間になりそうです。
まだまだはじまり、まだまだ続きます。
2022年5月7日土曜日 曇り一時雨
来客数……2名
売上……0円
5月10日に新しい本「昭和ノスタルジー スケッチ・イラストで紡ぐ『昭和』メモリー」を発売します。
出発点のロゴを作っていただいたのがご縁でお世話になっているイラストレーターの飯田ツトムさんから、日本出版美術家連盟の名誉会員・根本圭助先生の本の出版のご相談をいただいたのが昨年の夏ごろだったでしょうか。
その数年前に連盟のパーティーの講演会で初めてお顔を拝見し、挿絵画家として昭和の出版界を担って来られた先生のお話は、とても興味深いものでした。
その根本先生から思いがけなく本のご相談が来て、とてもうれしく、また気持ちが引き締まる思いでした。
はじめは私家版として動き始めた企画でしたが、気がつけば先生の本づくりの執念というか強い思いは、すっかりわたしや飯田さんにもすっかり乗り移り、初めの企画とまったく別の本になるべく慌ただしい日が続きました。
編集を進めながら心から感じたのは、師・小松崎茂先生への強い思いです。小松崎先生はご存じの方も多いかと思いますが、日本の戦後の挿絵の第一人者として活躍された作家です。
年配の方は「冒険王」や「幼年クラブ」などをはじめとする少年雑誌、もう少し後の世代の方は田宮模型のプラモデルのパッケージのイラストできっと目にしていると思います。
おそらく、若き日の根本先生と小松崎先生は師と弟子、年齢の差を越えて、戦争ですべてを失ったところから作家として、子どもたちのために新しい時代を切り拓いていこうと誓い合った同志としての強いきずながあったのだと思います。
さまざまな思い出の詰まった、出来上がったばかりの本はおそらく、先生の枕元に置かれているはずです。
できるだけ早く形にしたいというご希望に、何とか間に合いました。
私も昭和の後半世代、大先輩の先生といっしょに昭和の本づくりができたことに心から感謝しています。
ありがとうございました。
今日からちょっと思い当たることがあって、点主の個人的な日記をはじめることにしました。
今の時代、「自分が……」をリアルタイムでいつでも、どこででも発信できるSNSツールがあるのですが、最近、まったく魅力を感じなくなり、そんなスピードにもついていけないと思うようになりました。
経営者がそんなこと言ったらいけないのかもしれませんが……。
ふと、20年近く前、ブログ草創期にワクワクしながら毎夜パソコンに向かってよしなしごとを書いていた時代を思い出し、わたしに向いているのはこのくらいの節度なのだと気づきました。
前置きが長くなりましたが、そんな次第で、今後SNSとは少し距離を取っていくことをお伝えし、代わりにこのブログをのんびり発信できたらなあと思っています。
でもSNSは今の時代、コミュニケーション上必要なツールであることはよく認識しています。わたしなりにうまく使い分けていきます。どうぞご安心いただければ幸いです。
さて、今日4/18(月)と明日19(火)は出発点は定休日ですが、わたしはバスの乗務員に変身します。
実は先週の15日でバスの乗務員として川崎・東扇島にある「中日臨海バス」というところに就職してから3年となりました。
必要があって働きはじめた会社でしたが、ふたたび大型バスのハンドルを握ることが思いのほか楽しく、自家用ではなく、仕事としてお客さまを乗せ、緑ナンバーの車を運転することに魅力と誇りを感じながらの日々。まずは「石の上にも三年」と思って、通常のシフト勤務の社員と同様の課題をクリアしながら取り組んできました。
無事故で来られたのも、自分の普段の意識だけでなく、会社や周りのみんなに支えられてきたからだと思います。心から感謝しています。
「どんな些細な内容でも、事故を起こしたらバスの運転を卒業する」といつもどおり自分に課して、この2日間、そして週2回は点主としてではなくプロドライバーとして仕事を真面目に楽しみたいと思います。
この2日間はおそらくMT車、腕が鳴ります(?)
今日もいい旅を。
新年明けましておめでとうございます。
昨年のわたしは、どこに向かうのか何も分からないまま歩き続けた1年だったように思います。
コロナウイルスの感染におびえ、またコロナがもたらす社会の変化にどのように対応していけばいいのか、答えの出せない問いにずっと向き合ってきた感じがしています。
そして最近になって、少しずつですが分かってきたことがあります。
何でもコロナウイルスのせいにしてきた自分の存在です。
うまくいかないのは自分のせいではなく、コロナ禍によって世の中が変わってしまったからだという、どこかあきらめのような冷めた見方が、自分の始めた挑戦への意欲を蝕んでいるではないかと感じ始めたのです。
新たな事務所のスタート直後に訪れたコロナ禍、そして出発点の開点とその後の感染拡大—―。はじめは未曽有の出来事にやむを得ず繰り出していた免罪符が、いつしか常套手段になってしまっていました。
おかげさまで初夏からほぼ休みなく続いた作家さま方の展示が終わり、12月の初めに2年ぶりの気ままな一人旅をしてきました。
旅に出る朝、これまでと違うことが起きました。たったの数日間だというのに、家を離れることにとても不安を覚えたのです。初めての感情でした。
でも、新幹線に乗りながら、窓の外がだんだん見慣れない風景に変わっていくにつれて、少しずつ以前のような旅への憧れが高まっていきました。
同時に、何も変わっていないと思っていた自分の心は閉じて内向きになってしまっていたのかもしれない――驚きとともに悲しい気持ちがこみ上げてくるのを感じました。過ぎ去る風景を眺めながら自分の日々の暮らしすべてがそのような方向に動いていることを認めざるを得ませんでした。
旅から戻り、ずっといろいろなことを考えています。
いつも旅する自分でありたい—―自身のこの気持ちが母体のひとり出版社「旅と思索社」と、この「出発点」の屋台骨を支えてきました。
今年こそはコロナと共存する世界に前向きに向き合いながら、その基礎となる部分を補強し、時代にふさわしい新たな旅の計画をたくさん練っていきたいと思います。
コロナの世の中でも、希望を持って新たな知見で向き合えば乗り越えられる日がきっと訪れると信じて。
本年も旅と思索社ならびに出発点をどうぞよろしくお願い申し上げます。
合同会社 旅と思索社 代表社員
Bookstore & Gallery 出発点 点主
廣岡 一昭
本日も出発点の営業が無事に終わりました。
この蒸し暑さで今年も夏がやって来たとはっきり意識しました。
さて、本日から1階のビル軒下で古書の販売をスタートしました!
100円文庫と銘打って、気軽に読める文庫を300冊ほど、コンテナに詰めて並べただけですが、今後は定期的に入れ替えを行いながら楽しんでいただけるよう努めたいと思います。
始めてみて一番の心配はやはり雨と日差しでしょうか。万引きも確かに気になりますが、被害がひどくなれば考えるとします。
あともう一つ、夜間の照明をなんとかしないといけないな……と思っていましたら、まあ、明るいこと! 目の前に街灯があってとても助かりました。
やはり軒先で本を売ることの効果は絶大で、はじめてのお客さまも来ていただきました(新たに「夢見る牛乳缶」へ投資してくださる方も!)。
今日のような一日は、冷えたビールが格別に美味しくなりそうです。
次週のスタートは、サポーターさんのお力を借りて、6/8(火)からオープンします(初日は11〜17時営業)。
来週もご来点お待ちしております!