2022.4.23 昭和の記録

5月10日に新しい本「昭和ノスタルジー スケッチ・イラストで紡ぐ『昭和』メモリー」を発売します。

出発点のロゴを作っていただいたのがご縁でお世話になっているイラストレーターの飯田ツトムさんから、日本出版美術家連盟の名誉会員・根本圭助先生の本の出版のご相談をいただいたのが昨年の夏ごろだったでしょうか。

その数年前に連盟のパーティーの講演会で初めてお顔を拝見し、挿絵画家として昭和の出版界を担って来られた先生のお話は、とても興味深いものでした。

その根本先生から思いがけなく本のご相談が来て、とてもうれしく、また気持ちが引き締まる思いでした。
はじめは私家版として動き始めた企画でしたが、気がつけば先生の本づくりの執念というか強い思いは、すっかりわたしや飯田さんにもすっかり乗り移り、初めの企画とまったく別の本になるべく慌ただしい日が続きました。

編集を進めながら心から感じたのは、師・小松崎茂先生への強い思いです。小松崎先生はご存じの方も多いかと思いますが、日本の戦後の挿絵の第一人者として活躍された作家です。
年配の方は「冒険王」や「幼年クラブ」などをはじめとする少年雑誌、もう少し後の世代の方は田宮模型のプラモデルのパッケージのイラストできっと目にしていると思います。

おそらく、若き日の根本先生と小松崎先生は師と弟子、年齢の差を越えて、戦争ですべてを失ったところから作家として、子どもたちのために新しい時代を切り拓いていこうと誓い合った同志としての強いきずながあったのだと思います。

さまざまな思い出の詰まった、出来上がったばかりの本はおそらく、先生の枕元に置かれているはずです。

できるだけ早く形にしたいというご希望に、何とか間に合いました。
私も昭和の後半世代、大先輩の先生といっしょに昭和の本づくりができたことに心から感謝しています。

ありがとうございました。