節目の日のごあいさつにかえて

いつも旅と思索社、Bookstore&Gallery「出発点」をご愛顧いただきまことにありがとうございます。

本日、会社を設立して8年と、店をグランドオープンして1年半の節目を迎えました。
ここまで来られたのもさまざまな形で支えてくださった皆さまのおかげです。ほんとうにありがとうございました。

ちょっとだけ、正直な思いを告白させてください。

ほんとうは昨日いっぱいで、事務所だけを残してお店を無期限に休業しようかどうか、ずっと考えていました。

湯島のこの清水ビル2階の一角を借りたのが、新型コロナウイルスがまん延するおよそ半年前の2019年8月。ここの街にも活気がみなぎっていました。果たしてこんな時代がくるなどとはまったく想像もつきませんでした。

それでもせっかく借りることができた貴重な場所だからと、店をオープンしてここまで頑張って来られたのですが、コロナでおそらく不可逆な変化が起きてしまった時代に、今のわたしの取り組み方では先の見通せない状況です。

そんなことを、ふと久しぶりに来てくれた小学生の常連さんに口走ってしまったのです。
いつもの笑顔が、はじめて見る悲しい表情に変わりました。

はじめて、もうこの場所は自分だけのものではなく、この店を続ける責任と意味があるのだと、気づかされました。
ぎりぎりまでチャレンジしよう。悩んだ末に決めました。

わたしの性格上、皆さまに店のほんとうの状況について、心に秘めたままお店を続けるのがとてもつらく感じていまして、今日という機会に正直にお伝えし、あえて明らかにした課題に必死になって取り組みたいと思います。

この先もずっと、変わらずにここで皆さまをお待ちできるよう、精いっぱい努力したいと思います。
そして、恥ずべきこととは思いますが、店の状況についても正直にご報告したいと思います。
おそらく、きっと同じように店を始める方へ参考にしていただける何かを残すことができると思っています。

さて、悲しいことばかり言ってはいられませんね!
「迷える名所」であり続けるために、点内のリニューアルと商品構成の見直しを行うことにいたしました。
点内を昔の駅やバスの待合室のようなイメージに変えて、一期一会の出会いが生まれるような、しばしのんびりと過ごしていただけるような空間にします。作業できる机なども置きたいと思います。ちょっと面白い仕掛けも考えています。

そして絵本をより拡充して、新たにZINE・リトルプレス、そしてオリジナルグッズの販売に力を注いでいきたいと思っています。
それにあわせて置かせていただいている作家さまの作品にも少し変更があるかもしれません。なにとぞお許しいただければ幸いです。

ようやく店のクラウドファンディング募金箱「夢見る牛乳缶」を活用させていただく日がやってきました。皆さまの善意を無駄にしないよう、大切に使わせていただきます。
リニューアル完了の折にはぜひお越しくだされば幸いです。

そして、さまざまな方から「SNSをもっと活用しなきゃ」とお叱りを受けるのですが、わたしが表現できるのはせいぜい日々のささやかな徒然の延長線で、無理をすればおそらくエゴサーチと承認欲求の鬼になるでしょう。同じように商売っ気丸出しの売り込みも、自分にとっては強いストレスで、どうしても一線を引いてしまいます。
ここで開き直って、SNSはほどほど、微力ゆえにぜひ皆さまのお力をお借りできればとてもうれしく存じます。

最後に、ご心配をおかけしてすみません。そしていまだ皆さまの出発点なれずほんとうにごめんなさい。
でも、終わりまであきらめず努力して店を続けていきます。

この1年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

出発点 点主 廣岡 一昭

【ご案内】
恐れ入ります。今後の店の営業時間は当HP・ツイッター(https://twitter.com/shuppatsuten_jp)にて随時お伝えしていきます。